「屋根が壊れています」と来た業者の断り方|点検商法と8日間

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突然インターホンが鳴って、知らない業者が「近所で工事をしているので挨拶に来ました」と言う。そして「お宅の屋根、瓦がずれていますよ」と続ける。

このセリフは、決まっています。
国の相談機関である国民生活センターが、典型的な言い回しを4つの型にまとめて公表しています。そしてこう書いています。
「典型的な勧誘トークを知っておくことで防げます」

先に知っておけば、玄関先で「あ、これだ」と気づけます。気づけば、断るのはかんたんです。

断り方は「今は結構です」だけで十分です。理由は言わなくていいです。

目次

数字で見ると、増え続けています

国民生活センターが公表している、屋根工事の点検商法についての相談件数です。

年度相談件数
2018年度923件
2019年度1,157件
2020年度1,824件
2021年度2,352件
2022年度2,885件(2018年度の約3倍)

さらに、点検商法の相談全体のうち、屋根に関するものが占める割合も上がり続けています。

2018年度16.2パーセント
2022年度35.4パーセント
2023年度35.9パーセント(8月31日まで)

4年で2倍以上になりました。点検商法といえば屋根、という状況です。

そして、契約してしまった人の8割超が60歳以上です。
屋根は自分の目で確かめられません。「見てきました」と言われたら、否定しようがない。そこを突かれています。

勧誘は、10月前後の秋の台風シーズンに増えます。これも国民生活センターが指摘しています。

相手のセリフは、4つの型に分かれます

国民生活センターの分類です。この順番で進んできます。

型1|家に近づくきっかけを作る

こう言ってきます 「近所で工事をしているので、挨拶に来ました」
「屋根瓦がずれているのが見えたので、点検してあげます」
「通りかかったら気になったので」
「無料で点検しています」

ここが第一関門です。まだ何も売られていないので、つい話を聞いてしまいます。でもここで断れば、あとは何も起きません。

型2|不安をあおる

こう言ってきます 「このままだと瓦が飛んで、ご近所に迷惑がかかりますよ」
「雨漏りはもう始まっています。天井裏が濡れています」
「次の台風で飛びます」
「今すぐ直さないと、家がもちません」

「ご近所に迷惑」という言い方が、とくに効きます。自分のためではなく人のためだと思うと、断りにくくなるからです。

そしてスマホで撮った「壊れた屋根の写真」を見せてきます。ここで多くの人が信じてしまいます。

型3|安く済むと思わせる

こう言ってきます 「火災保険を使えば、自己負担なしで直せます」
「今なら足場代がサービスになります」
「近所の工事のついでなので、安くできます」
「補助金が使えます。枠が残りわずかです」

「タダになる」と言われると、断る理由がなくなったように感じます。そこが狙いです。

火災保険は本当に使えることがありますが、それは自分で調べて、自分で申請すればいい話です。その業者に頼む理由にはなりません。

型4|次々に、別の工事をすすめる

こう言ってきます 「屋根を見たついでに、外壁も傷んでいました」
「床下も見ましょうか。無料です」
「シロアリがいますね」
「給湯器も古いですね」

一度契約すると、次から次へと工事が増えていきます。気づけば何百万円になっていた、という相談が実際にあります。

4つの型のどれかを聞いたら、そこで会話を終わらせてください。
全部の型が出てくるわけではありません。ひとつでも当てはまれば、それで十分です。

絶対に、屋根に上げないでください

これが一番大事です。「無料だから見てもらうだけなら」と思わないでください。

理由1|そこで屋根を壊されたという相談があります
点検すると言って屋根に上がり、わざと壊して「ほら、こんなにひどい」と見せる。こうした相談が消費生活センターに寄せられています。

理由2|見せられた写真が、自分の家のものか確かめられません
スマホの画面を見せられても、本当に自分の家の屋根か、いつ撮ったものか、こちらには分かりません。よその家の写真かもしれません。

理由3|上げた時点で、断りにくくなります
「わざわざ上がってもらったのに」という気持ちが生まれます。それも計算のうちです。

※最近はドローンで撮った映像を見せてくる業者もいます。見た目は立派ですが、それが自分の家か確かめられない点は同じです。

断り方は「今は結構です」だけです

うまく断ろうとしなくていいです。短く終わらせるのが一番です。

この順番でやってください。
  1. できればドアを開けない。インターホン越しに「結構です」で終わらせる
  2. 開けてしまったら、「今は結構です」とだけ言う
  3. 理由は言わない。「お金がない」「主人がいない」も言わない。あとで使われます
  4. 玄関の中に入れない。座らせない。お茶を出さない
  5. しつこければ「これ以上は警察を呼びます」でいいです
話を聞くほど、断りにくくなります。
向こうは毎日これをやっています。会話が長引けば長引くほど、向こうのペースになります。勝とうとしないで、早く切ることを考えてください。

言ってはいけない断り文句

つい言ってしまう言葉どう返されるか
「お金がないので」「火災保険でタダになります」「分割もできます」
「主人に聞いてみます」「では夜また来ます」(また来ます)
「今忙しいので」「5分で終わります」
「他で見てもらっています」「どこですか。うちのほうが安いです」

どれも会話が続いてしまいます。「今は結構です」だけなら、返す言葉がありません。

契約してしまったら、8日間はやめられます

もう契約してしまった方も、あきらめないでください。

訪問販売で契約した場合、契約書を受け取った日から8日間は、理由なしでやめられます。
お金を払う必要はありません。手付金を払っていたら、返してもらえます。

工事が終わっていても、できる場合があります

国民生活センターは、「工事終了後でもクーリング・オフできる場合がある」としています。

また、契約書をもらっていない、もらった書類に足りない項目があるという場合は、8日を過ぎていてもやめられることがあります。日にちで自分から線を引かないでください。まず相談です。

2022年6月から、メールでもできるようになりました

ここは、古い情報が多く残っている部分です。

以前ははがきを出すのが基本でしたが、法律が変わって、今はメールなどでもできます。

やり方残しておくもの
はがき両面をコピーして、特定記録か簡易書留で送る。受け取りの控えを保管
メール送信したメールを消さずに保存しておく
業者のサイトの専用フォーム送信画面のスクリーンショットを撮っておく

書く内容はこれだけです

  • 契約した日
  • 自分の名前と住所
  • 何の契約か(屋根の修理工事、など)
  • 契約した金額
  • 「この契約を解除します」という一文
  • この通知を出した日
うまく書こうとしなくて大丈夫です。この6つが入っていれば通ります。

※8日の数え方は「契約書を受け取った日」からです。契約した日ではありません。契約書をもらった日を1日目として数えます。

困ったときの相談先

自分ひとりで業者と話をしないでください。無料で相談できる公的な窓口があります。

消費者ホットライン電話 188(いやや、と覚えます)
近くの消費生活センターにつながります。契約をやめたい、お金を返してほしい、という相談はここです
住まいるダイヤル電話 0570-016-100(10時〜17時。土日祝と年末年始は休み)
国が指定した住まいの相談窓口。建築士が無料で、工事の中身や金額が妥当かを見てくれます
警察その場で帰らない、脅すような言い方をされた場合は110番で構いません

相談するときは、契約書・見せられた写真・受け取った書類・やり取りの記録を手元に用意してください。捨てないでください。

離れて暮らす家族ができること

契約してしまった人の8割超が60歳以上です。親が実家にひとりで住んでいる、という方は、この節を読んでください。

  1. 「近所で工事をしていると言って来る人がいる」と話しておく。それだけで警戒してもらえます
  2. 「屋根に上げないで」とだけ伝える。覚えることを1つに絞ると効きます
  3. 「工事の話は、必ず私に電話してから」と決めておく。ワンクッションが入るだけで、その場の契約が減ります
  4. 玄関に「訪問販売お断り」の紙を貼る
  5. 帰省したとき、心当たりのない工事の跡や書類がないか見る

※本人が「だまされた」と認めたがらないことがあります。責めないでください。相手は毎日これを仕事にしている人たちです。だまされるほうが悪いのではありません。

では、本当に屋根が心配なときは

ここまで読んで、「でも、本当に屋根が傷んでいたらどうしよう」と思った方もいると思います。

その心配はもっともです。台風のあとなら、実際に壊れていることもあります。

答えは「その業者ではなく、自分で選んだ会社に見てもらう」です。
向こうから来た業者に頼む必要はありません。こちらから選んで、こちらから連絡すればいいだけです。
見てもらうのも、見積もりを出してもらうのも無料の会社がほとんどです。断っても費用はかかりません。

自分で選んだ会社なら、その場で契約を迫られることもありません。金額を聞いて、持ち帰って、家族と相談してから決められます。

どこに頼めばいいか

相談先どこまで来てくれるか特徴
雨漏り修理救急センター関東と近畿会社名・住所・社長の名前・料金を全部出している。「見積もり後に契約を催促する営業はしません」「他社にも見積もりを取ってかまいません」と自分で書いています
雨漏り修理110番日本全国24時間365日受付。ほかが来られない地域はここ
街角雨漏り相談所関東・近畿・東海・岡山・九州相談を受けて、近くの業者につないでくれる形
アメトメ関東質問3つに答えるだけで申し込める。電話で話すのが苦手な人向け

お住まいの市区のページもあります

次の市区は、地元の会社を含めた相談先を市区ごとに調べてまとめています。お住まいの場所があれば、そちらを見てください。

東京都練馬区/世田谷区/足立区
埼玉県川口市
千葉県千葉市/船橋市/松戸市/浦安市/佐倉市/市原市/茂原市/四街道市
神奈川県横浜市/川崎市/相模原市

ここに無い地域の方は、上の表から選んでください。雨漏り修理110番は日本全国が受付の対象です。

※どこに頼む場合も、2社に見てもらって比べるのが一番安全です。言っていることが同じなら、その診断は信用できます。

よくある質問

訪問してくる業者が全部わるいのですか

そうではありません。まじめに営業している会社もあります。

ただその場で判断する必要はまったくありません。本当にいい会社なら、「では資料を置いていきます。必要になったらご連絡ください」で終われるはずです。

その場で契約させようとするかどうか。ここが分かれ目です。

すでに工事が始まっています

※借りている家の場合は、連絡の順番も家賃の扱いも変わります。→ 賃貸で雨漏り|大家と管理会社どちらに連絡?家賃は下がるのか

まず188に電話してください。工事が終わっていてもやめられる場合があります。

自分で業者に言うと「もう材料を発注した」「違約金が発生する」と言われます。そう言われても、その場で払わないでください。相談窓口を通してください。

「保険で直せる」と言われました

火災保険が使えること自体は、本当にあります。でも、その業者に頼む必要はありません。

保険金を請求できるのは契約している本人と家族だけです。「代わりに全部やります」と言う会社には、手数料を必ず聞いてください。保険金の3割から4割を取る会社があります。

→ 雨漏りは火災保険で直せる?おりる条件・おりない例・申請の流れ

「うその理由で請求しよう」と持ちかけられました

絶対に乗らないでください。「古くなっただけだけど、台風のせいにしましょう」という誘いです。

これに乗ると、犯罪になるのはあなたです。請求書に名前を書いて出すのは本人だからです。業者は捕まりません。

まとめ

覚えるのはこれだけです。
  1. 「近所で工事をしている」と来たら、その時点で終わらせる
  2. 屋根に上げない。無料でもだめです。壊されたという相談があります
  3. 「今は結構です」だけ。理由は言わない。「お金がない」も言わない
  4. その場で契約しない。急ぐ理由は、こちらにはありません
  5. 契約しても8日間はやめられます。今はメールでもできます
  6. 困ったら188。ひとりで業者と話さない
  7. 本当に心配なら、自分で選んだ会社に頼む。見るのも見積もりも無料です

台風の直後で困っている方は、こちらもあわせてご覧ください。

→ 台風で雨漏りしたら?すぐやること・火災保険・業者を呼ぶ順番

出典:国民生活センター「屋根工事の点検商法のトラブルが増えています」(2023年10月11日 報道発表)/同「『保険金を使って自己負担なく住宅修理ができる』と勧誘されてもすぐに契約しないようにしましょう!」/経済産業省「2022年6月から電磁的記録によるクーリング・オフが可能となりました」/公益財団法人 住宅リフォーム・紛争処理支援センター(住まいるダイヤル)

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