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突然インターホンが鳴って、知らない業者が「近所で工事をしているので挨拶に来ました」と言う。そして「お宅の屋根、瓦がずれていますよ」と続ける。
国の相談機関である国民生活センターが、典型的な言い回しを4つの型にまとめて公表しています。そしてこう書いています。
「典型的な勧誘トークを知っておくことで防げます」
先に知っておけば、玄関先で「あ、これだ」と気づけます。気づけば、断るのはかんたんです。
断り方は「今は結構です」だけで十分です。理由は言わなくていいです。
数字で見ると、増え続けています
国民生活センターが公表している、屋根工事の点検商法についての相談件数です。
| 年度 | 相談件数 |
|---|---|
| 2018年度 | 923件 |
| 2019年度 | 1,157件 |
| 2020年度 | 1,824件 |
| 2021年度 | 2,352件 |
| 2022年度 | 2,885件(2018年度の約3倍) |
さらに、点検商法の相談全体のうち、屋根に関するものが占める割合も上がり続けています。
| 2018年度 | 16.2パーセント |
|---|---|
| 2022年度 | 35.4パーセント |
| 2023年度 | 35.9パーセント(8月31日まで) |
4年で2倍以上になりました。点検商法といえば屋根、という状況です。
屋根は自分の目で確かめられません。「見てきました」と言われたら、否定しようがない。そこを突かれています。
勧誘は、10月前後の秋の台風シーズンに増えます。これも国民生活センターが指摘しています。
相手のセリフは、4つの型に分かれます
国民生活センターの分類です。この順番で進んできます。
型1|家に近づくきっかけを作る
「屋根瓦がずれているのが見えたので、点検してあげます」
「通りかかったら気になったので」
「無料で点検しています」
ここが第一関門です。まだ何も売られていないので、つい話を聞いてしまいます。でもここで断れば、あとは何も起きません。
型2|不安をあおる
「雨漏りはもう始まっています。天井裏が濡れています」
「次の台風で飛びます」
「今すぐ直さないと、家がもちません」
「ご近所に迷惑」という言い方が、とくに効きます。自分のためではなく人のためだと思うと、断りにくくなるからです。
そしてスマホで撮った「壊れた屋根の写真」を見せてきます。ここで多くの人が信じてしまいます。
型3|安く済むと思わせる
「今なら足場代がサービスになります」
「近所の工事のついでなので、安くできます」
「補助金が使えます。枠が残りわずかです」
「タダになる」と言われると、断る理由がなくなったように感じます。そこが狙いです。
火災保険は本当に使えることがありますが、それは自分で調べて、自分で申請すればいい話です。その業者に頼む理由にはなりません。
型4|次々に、別の工事をすすめる
「床下も見ましょうか。無料です」
「シロアリがいますね」
「給湯器も古いですね」
一度契約すると、次から次へと工事が増えていきます。気づけば何百万円になっていた、という相談が実際にあります。
全部の型が出てくるわけではありません。ひとつでも当てはまれば、それで十分です。
絶対に、屋根に上げないでください
これが一番大事です。「無料だから見てもらうだけなら」と思わないでください。
点検すると言って屋根に上がり、わざと壊して「ほら、こんなにひどい」と見せる。こうした相談が消費生活センターに寄せられています。
理由2|見せられた写真が、自分の家のものか確かめられません
スマホの画面を見せられても、本当に自分の家の屋根か、いつ撮ったものか、こちらには分かりません。よその家の写真かもしれません。
理由3|上げた時点で、断りにくくなります
「わざわざ上がってもらったのに」という気持ちが生まれます。それも計算のうちです。
※最近はドローンで撮った映像を見せてくる業者もいます。見た目は立派ですが、それが自分の家か確かめられない点は同じです。
断り方は「今は結構です」だけです
うまく断ろうとしなくていいです。短く終わらせるのが一番です。
- できればドアを開けない。インターホン越しに「結構です」で終わらせる
- 開けてしまったら、「今は結構です」とだけ言う
- 理由は言わない。「お金がない」「主人がいない」も言わない。あとで使われます
- 玄関の中に入れない。座らせない。お茶を出さない
- しつこければ「これ以上は警察を呼びます」でいいです
向こうは毎日これをやっています。会話が長引けば長引くほど、向こうのペースになります。勝とうとしないで、早く切ることを考えてください。
言ってはいけない断り文句
| つい言ってしまう言葉 | どう返されるか |
|---|---|
| 「お金がないので」 | 「火災保険でタダになります」「分割もできます」 |
| 「主人に聞いてみます」 | 「では夜また来ます」(また来ます) |
| 「今忙しいので」 | 「5分で終わります」 |
| 「他で見てもらっています」 | 「どこですか。うちのほうが安いです」 |
どれも会話が続いてしまいます。「今は結構です」だけなら、返す言葉がありません。
契約してしまったら、8日間はやめられます
もう契約してしまった方も、あきらめないでください。
お金を払う必要はありません。手付金を払っていたら、返してもらえます。
工事が終わっていても、できる場合があります
国民生活センターは、「工事終了後でもクーリング・オフできる場合がある」としています。
また、契約書をもらっていない、もらった書類に足りない項目があるという場合は、8日を過ぎていてもやめられることがあります。日にちで自分から線を引かないでください。まず相談です。
2022年6月から、メールでもできるようになりました
ここは、古い情報が多く残っている部分です。
以前ははがきを出すのが基本でしたが、法律が変わって、今はメールなどでもできます。
| やり方 | 残しておくもの |
|---|---|
| はがき | 両面をコピーして、特定記録か簡易書留で送る。受け取りの控えを保管 |
| メール | 送信したメールを消さずに保存しておく |
| 業者のサイトの専用フォーム | 送信画面のスクリーンショットを撮っておく |
書く内容はこれだけです
- 契約した日
- 自分の名前と住所
- 何の契約か(屋根の修理工事、など)
- 契約した金額
- 「この契約を解除します」という一文
- この通知を出した日
※8日の数え方は「契約書を受け取った日」からです。契約した日ではありません。契約書をもらった日を1日目として数えます。
困ったときの相談先
自分ひとりで業者と話をしないでください。無料で相談できる公的な窓口があります。
| 消費者ホットライン | 電話 188(いやや、と覚えます) 近くの消費生活センターにつながります。契約をやめたい、お金を返してほしい、という相談はここです |
|---|---|
| 住まいるダイヤル | 電話 0570-016-100(10時〜17時。土日祝と年末年始は休み) 国が指定した住まいの相談窓口。建築士が無料で、工事の中身や金額が妥当かを見てくれます |
| 警察 | その場で帰らない、脅すような言い方をされた場合は110番で構いません |
相談するときは、契約書・見せられた写真・受け取った書類・やり取りの記録を手元に用意してください。捨てないでください。
離れて暮らす家族ができること
契約してしまった人の8割超が60歳以上です。親が実家にひとりで住んでいる、という方は、この節を読んでください。
- 「近所で工事をしていると言って来る人がいる」と話しておく。それだけで警戒してもらえます
- 「屋根に上げないで」とだけ伝える。覚えることを1つに絞ると効きます
- 「工事の話は、必ず私に電話してから」と決めておく。ワンクッションが入るだけで、その場の契約が減ります
- 玄関に「訪問販売お断り」の紙を貼る
- 帰省したとき、心当たりのない工事の跡や書類がないか見る
※本人が「だまされた」と認めたがらないことがあります。責めないでください。相手は毎日これを仕事にしている人たちです。だまされるほうが悪いのではありません。
では、本当に屋根が心配なときは
ここまで読んで、「でも、本当に屋根が傷んでいたらどうしよう」と思った方もいると思います。
その心配はもっともです。台風のあとなら、実際に壊れていることもあります。
向こうから来た業者に頼む必要はありません。こちらから選んで、こちらから連絡すればいいだけです。
見てもらうのも、見積もりを出してもらうのも無料の会社がほとんどです。断っても費用はかかりません。
自分で選んだ会社なら、その場で契約を迫られることもありません。金額を聞いて、持ち帰って、家族と相談してから決められます。
どこに頼めばいいか
| 相談先 | どこまで来てくれるか | 特徴 |
|---|---|---|
| 雨漏り修理救急センター | 関東と近畿 | 会社名・住所・社長の名前・料金を全部出している。「見積もり後に契約を催促する営業はしません」「他社にも見積もりを取ってかまいません」と自分で書いています |
| 雨漏り修理110番 | 日本全国 | 24時間365日受付。ほかが来られない地域はここ |
| 街角雨漏り相談所 | 関東・近畿・東海・岡山・九州 | 相談を受けて、近くの業者につないでくれる形 |
| アメトメ | 関東 | 質問3つに答えるだけで申し込める。電話で話すのが苦手な人向け |
お住まいの市区のページもあります
次の市区は、地元の会社を含めた相談先を市区ごとに調べてまとめています。お住まいの場所があれば、そちらを見てください。
ここに無い地域の方は、上の表から選んでください。雨漏り修理110番は日本全国が受付の対象です。
※どこに頼む場合も、2社に見てもらって比べるのが一番安全です。言っていることが同じなら、その診断は信用できます。
よくある質問
訪問してくる業者が全部わるいのですか
そうではありません。まじめに営業している会社もあります。
ただその場で判断する必要はまったくありません。本当にいい会社なら、「では資料を置いていきます。必要になったらご連絡ください」で終われるはずです。
その場で契約させようとするかどうか。ここが分かれ目です。
すでに工事が始まっています
※借りている家の場合は、連絡の順番も家賃の扱いも変わります。→ 賃貸で雨漏り|大家と管理会社どちらに連絡?家賃は下がるのか
まず188に電話してください。工事が終わっていてもやめられる場合があります。
自分で業者に言うと「もう材料を発注した」「違約金が発生する」と言われます。そう言われても、その場で払わないでください。相談窓口を通してください。
「保険で直せる」と言われました
火災保険が使えること自体は、本当にあります。でも、その業者に頼む必要はありません。
保険金を請求できるのは契約している本人と家族だけです。「代わりに全部やります」と言う会社には、手数料を必ず聞いてください。保険金の3割から4割を取る会社があります。
→ 雨漏りは火災保険で直せる?おりる条件・おりない例・申請の流れ
「うその理由で請求しよう」と持ちかけられました
絶対に乗らないでください。「古くなっただけだけど、台風のせいにしましょう」という誘いです。
これに乗ると、犯罪になるのはあなたです。請求書に名前を書いて出すのは本人だからです。業者は捕まりません。
まとめ
- 「近所で工事をしている」と来たら、その時点で終わらせる
- 屋根に上げない。無料でもだめです。壊されたという相談があります
- 「今は結構です」だけ。理由は言わない。「お金がない」も言わない
- その場で契約しない。急ぐ理由は、こちらにはありません
- 契約しても8日間はやめられます。今はメールでもできます
- 困ったら188。ひとりで業者と話さない
- 本当に心配なら、自分で選んだ会社に頼む。見るのも見積もりも無料です
台風の直後で困っている方は、こちらもあわせてご覧ください。
→ 台風で雨漏りしたら?すぐやること・火災保険・業者を呼ぶ順番
出典:国民生活センター「屋根工事の点検商法のトラブルが増えています」(2023年10月11日 報道発表)/同「『保険金を使って自己負担なく住宅修理ができる』と勧誘されてもすぐに契約しないようにしましょう!」/経済産業省「2022年6月から電磁的記録によるクーリング・オフが可能となりました」/公益財団法人 住宅リフォーム・紛争処理支援センター(住まいるダイヤル)
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